スマホでメモ代わりに写真撮って残しておくことってあるんじゃないでしょうか?
最近は、InstagramやTwitter、FacebookなどSNSに投稿するために美味しいものや綺麗な風景をスマホで写真を撮って投稿することが多いですね。
私もよく、そのときの風景を覚えておこうと思い写真に撮ることが多くあります。
ところが、写真を撮るとかえって記憶に残らなくなるんです。
なぜ思い出を写真に撮ると記憶に残らないか?
思い出を写真に撮って忘れないようにしようとしても、それが逆効果になってしまいかえって記憶に残らなくなる、という心理学研究が発表されています。
「ほとんど何も考えずにシャッターを切っている。実際に自分がどんな体験をしてるか忘れてしまうほど」
米フェアフィールド大学の心理学者リンダ・ヘンケル氏の研究では、博物館のツアーに参加してもらった学生たちに、
- 「写真を撮りながら見学する学生」
- 「単に見学だけをする学生」
に分けて展示品を見るようにしてもらいました。
次の日にどれだけ覚えてたか調べると、「写真を撮りながら見学する学生」より「単に見学だけをする学生」のほうが記憶に残っていて認識されていた結果となりました。
つまり、写真に撮る人ほどその時のことを覚えてないのです。
ヘンケル氏はこの現象を「写真撮影減殺効果」と呼び、
「記憶に残すために写真を撮るって記録すると、かえって自分の記憶に残らずに忘れてしまうどころか、その体験さえも自分自身が積極的に参加する必要がなくなり、マイナスの効果になってしまう」
と説明しています。
思い出に残らないどころか、いわゆる写真係になったり写真を撮ることに夢中でその場に参加する必要がなくなってしまうんですね。
ただし、むしろ記憶に残る方法もある
この実験では別の発見もありました。
「写真を撮りながら見学する学生」のうち、展示品などの被写体をズームしたりじっくり時間を書けて構図を考えたりした学生は、写真のフレームに収まりきらなかった細かい部分についての記憶も残っていたといいます。
つまり、肉眼では観測できない細かいところまでズーム機能を使って見たり綺麗に撮れる構図を考えることで、しっかりとその場を体験しつつ写真撮影にとらわれないことが重要とも言えます。
写真ばかり撮ると思い出にならないどころか楽しさも失われる
ヘンケル氏は、「心の眼」と「カメラの眼」は同じではないことと、写真は記憶する助けにはなるが、じっくり時間をかけてズームしたりフレーム枠を考えたりする場合のみで、過剰に写真を撮ると記憶の妨げになってしまうとのことです。
SNSに上げる目的やスナップ写真のような撮り方で肉眼の代わりに写真に残すようなやり方は、思い出として残らないばかりか「その場に自分がいる」という体験としての積極性も失われ記憶に残らなくなってしまうとのことでした。
写真を撮ったら整理する時間をとると記憶に残る
また、ヘンケル氏は、
「写真を撮っても整理しなければ思い出すことはなくなり記憶に残らないことが調査結果からもわかっている。記憶に残すには撮った写真を整理したり自分の目で見る必要がある」
と言っています。
つまり、写真に撮ったらあとで整理して自分の目で見ないと思い出として忘れてしまう、とのことです。
私もスマホやカメラでよく写真を撮ります。
気乗りしない外出や、あまり面白くないときでも「写真を撮っていればそんなに退屈しないしいいや」っていわば退屈しのぎのために写真を撮ってしまうこともありますが、これは記憶に残らなくなってしまうんですね。
それに、「写真を撮っただけで保存した気になって満足する」のが大きな要因です。
写真を見直すことなんてほとんどないのに、その場面や情景を保存した気になって満足するのは記憶にとっても体験としても薄くなってしまうので非常にもったいないことです。
だからって写真に撮るのも楽しいものです。
過度に写真ばかり撮るのではなく、時には
「あえて写真を撮らない」
ようにして良い体験として残すのも大事ですね。
また、写真の心理効果はストレスにも繋がることが発見されています。
参考: 写真の撮り過ぎ、思い出薄れる? 心理学研究 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News